なぜ外国人を雇用するだけでは人手不足が解消しないのか | ポートフォリオKGM 240417
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なぜ外国人を雇用するだけでは人手不足が解消しないのか

日本の外国人労働者受け入れ制度が大きな転換期を迎えています。
これまでの「技能実習制度」が廃止され、後継として「育成就労制度」の導入が検討されているのです。
「特定技能制度」では、24年問題により労働力不足の顕著化が見込まれる自動車運送業、林業、鉄道、木材産業が、新分野として追加を検討されており、ますます注目が高まっています。

なぜ制度が移行されるのか

そもそも技能実習制度は、日本が外国人労働者を受け入れるための重要な制度の一つでした。しかしながら、この制度は長年にわたりさまざまな問題に直面してきました。最も顕著な問題は、実習生が不適切な労働条件や低賃金で働かされ、さらには人権侵害といった事案が多数報告されていることです。

また、技能実習生の一部が実習終了後も適切な支援を受けられないまま不法滞在を続けたり、人身売買の被害に遭ったりというケースも問題視されていました。

こうした問題を踏まえ、2019年には特定技能制度が新設されました。特定技能制度では、技能を持つ外国人労働者が日本での就労を許可される一方で、定められた技能試験に合格することが条件とされました。この制度の導入により、外国人労働者の保護や人権確保が改善されることが期待されましたが、その実態は必ずしも順調ではありませんでした。

新設する育成就労制度にも、さまざまな課題や懸念が指摘されています。
例えば、適切な教育・訓練プログラムの提供や、労働条件の保護、日本語教育の充実などが挙げられます。また、外国人労働者を受け入れる企業や雇用主に対する適切な指導や監督体制も必要です。

今後は、これらの課題を解決しながら、育成就労制度が円滑に運用され、外国人労働者の受け入れが持続可能な形で行われることが期待されます。

そもそも、なぜ外国人労働者が必要か

対応分野の拡大(運送業など)の背景も、外国人に頼らざるを得ないほどの人手不足が大きな理由の一つです。ただ、人手不足が深刻なのは、その多くが地方の零細・中小企業です。外国人材を雇用しても、転職が可能になることで都市部への流出は避けられないでしょう。

人材の流出を防ぐためには、企業だけでなく地域が一体となって定着へ向けた支援へ取り組む必要があります。
地域の魅力創出に加え、長期在留や定住を見据えた日本語教育支援や生活支援策が必要です。
地域の外国人支援の核となる人材を育成すべく、外国人支援コーディネーターという在留外国人の生活支援に特化した認証制度も検討が進められています。

移民制度がうまく機能しているアメリカ

現在の育成就労・特定技能制度はステルス移民制度だという声が一部では聞かれることもあります。現に家族を含めた長期在留が可能となっていることを考えると、日本へ定住する外国人は今後間違いなく増加すると考えられるでしょう。
外国人定住者の増加には経済的な恩恵もあり、日本経済の維持のためにも外国人にとって魅力的な国づくりが求められます。

外国人受け入れを最も積極的に進めているアメリカを例に見てみましょう。

※アメリカは政局が一枚岩ではなく、共和党政権か民主党政権かで移民受け入れに対する政策が大きく異なるが、概ね移民の受け入れには積極的で今後も変わらない可能性が高い

2050年までに中国がGDPで世界一となる見込みですが、その後2100年までにアメリカが再び世界一に返り咲く見込み※1です。
経済と人口動態は密接な関係にあり、一般的に若年人口が多いと経済は成長すると言われています。
アメリカは合計特殊出生率が1.84(日本は1.39)※2と人口置換水準である2.07を下回っていますが、米政府の予測によると2080年ごろまでは人口増加が続くとされています(2080年時点で3億8千万人へ増加予想)※3
もちろん、人口増加の主な要因は移民がこれからも増えることにあります。

出典元
※1 2017年から2100年までの195の国と地域の出生率、死亡率、移民、人口シナリオ|ランセット
※2 合計特殊出生率(The World Factbook)|アメリカ合衆国中央情報局
※3 米国の人口は今世紀後半減少し始めると予測|米国国勢調査局

アメリカの移民政策で特に注目すべきは、高学歴の非常に優秀な人材も多いという点です。優秀な人材にとって、チャンスが多いアメリカは、ほとんどの国より魅力的に見えるはずです。世界を席巻するイーロン・マスク氏も南アフリカ共和国からの移民で、Google創業者の一人であるセルゲイ・ブリン氏も旧ソ連からの移民2世です。

アメリカのユニコーン企業(評価額が10億ドル以上、かつ設立10年以内の未上場ベンチャー企業)の創業者は、半数が移民もしくは移民の2世や3世と言われており、強いアメリカ経済の原動力となっています。

日本で外国人を受け入れるために必要なこと

先進諸国と比較して日本は外国人の受け入れに馴染みがなく、これからどのような政策を行うかは不透明ですが、外国人の受け入れをむやみに拡大しても、日本にとっての恩恵は少ないでしょう。

まずは、外国人が平等に扱われることが前提となり、外国人が活躍できる国づくりを目指す必要があります。日本は言語を共有できる国がなく、アメリカやイギリス、スペイン等と比較すると言語習得の面で大きな障壁があるため、国や地方自治体が日本語教育に力を入れる必要があります。

企業にできることも沢山あります。
具体的には、
・雇用側はキャリアパスをしっかり作っておく
・雇用に対する認識の違いを互いに理解する
・生活面でのサポート体制の充実
など、偏見を捨て外国人が活躍できる風土づくりが必要となるでしょう。

まとめ

日本の外国人労働者受け入れ政策が大きく変化しました。
これにより、外国人労働者の受け入れ枠が拡大される一方で、より適切な教育・訓練や労働条件の保護が求められるようになります。今後は、育成就労制度の運用により就労環境が改善され、外国人労働者と日本社会との持続可能な共生が実現されることを期待しています。

当社は中小企業様の課題に寄り添い、本当に外国人材が必要かどうか、先に整えられる社内制度がないかなどを考えるところから始めます。外国人雇用以外にも、お力になれる部分があるかもしれません。人手不足に悩む企業様はぜひ一度、当社までご相談ください。

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